2017年3月22日水曜日
【アモリ通信101:水力発電が日本を救う】 20170322
福島清隆 さん
こんにちは。
参謀育成コンサルタントの福島清隆です。
本日のテーマは「水力発電が日本を救う」です。
-------------------------------------------
今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる
日本のダムは200兆円を超す巨大遺産である
-------------------------------------------
私は基本的には原発反対派です。
少なくとも、長期的には原発に変わるエネルギー
というか社会基盤が構築されるべきと考えます。
原発に変わるもの・・・・・
火力発電、天然ガス、風力発電、太陽熱、地熱、
シェールガス、メタンハイドレード・・・・・
どれがメジャーになっていくのか分かりませんが
「水力発電」は自分の感覚にありませんでした。
-----------------------------------------
水力発電が日本を救う
竹村公太郎 著 東洋経済新報社
1945年生まれ。1970年、東北大学工学部
土木工学科修士課程修了。同年、建設省入省。
以来、主にダム・河川事業を担当し、近畿地方
建設局長、河川局長尚を歴任。
2002年、国土交通省退官後、リバーフロント
研究所代表理事を経て、現在は日本フォーラム
事務局長。
------------------------------------------
今回は、上記の著書のサマリーを更にサマリー
してみます。
1.現在、日本のダムは、満水の約半分しか水を
貯めないようにしている。
この貯水量を増やすだけで、ダムを増やすこと
なく、水力発電量を2倍以上に増やすことがで
きる。
2.ダムの運用は、「特定多目的ダム法」に従って
行われている。
1957年に制定されたこの法律は、「利水」
(水の利用)と「治水」(洪水の予防)という
2つの目的が記されている。
3.矛盾する2つの目的があるため、折衷案として
ダムは満水の半分しか水を貯めないことになっ
ている。
4.これが原因で、現在の科学技術を活かしてダム
を効率的に運用する、ということができていな
い。
5.日本は地震国であるにもかかわらず、これまで
一度もダムが壊れたことがない。
その理由は3つある。
・ ダムのコンクリートには鉄筋が通っていない。
そのため、鉄筋が錆びてコンクリートが脆くな
る、ということがない。
・ 基礎が岩盤と一体化してるため、地震の揺れに
強い。
・ 壁の厚みが数十~200m以上あり、地震はも
ちろん、兵器を使って壊そうとしても、容易に
壊せない。
6.水力発電は、ダム湖の水量を増やす以外に、
「嵩上げ(かさあげ)」(ダムを高くするこ
と)で増やすことができる。
例えば、100mのダムを10m嵩上げすれば
発電量は約70%増加する。
7.現在、日本の水力発電の電力量は、年間900
億kWh強。
今後、ダムの運用変更や嵩上げなどを行えば、
追加で1000億kWh以上の電力量を生み出す
ことができる。
この増加分を金額換算すると、年間で2兆円分
に当たる。
---------------------------------------------
ざっくり言うと、著者の竹村公太郎氏は上記の内容
を説いています。
ここで特に気になるところを更に解説すると。
---------------------------------------------
科学技術の進歩により、治水と利水の矛盾を限りなく
小さくすることが可能になった。
しかし、半世紀以上前の法律がそのままになっている
ため、せっかくの技術の進歩が活かされていない。
ここに日本の行政システムの現実が露呈している。
行政はダムを造るというハード面の進化はどんどん
進めるが、ダムを効率的に運用するなどのソフト面
は後回しにしがちだ。
理由は、ハードには予算がつくが、ソフトにはあま
り予算がつかないからだ。
役人は予算を確保したいと考える習性がある。
予算がさほどつかない分野に頭を絞って知恵を生ん
で行こうという気持ちが湧きにくい。
ダムは国交省河川局。気象衛星は気象庁の管轄。
ダムの運営は気象庁の技術成果を組み込まねばなら
ない。
しかし、日本の行政は縦割り組織であり、他のセク
ションの成果を活かすという意識は働きにくい。
----------------------------------------------
要はダムから単純に放水するのではなく、通常は水
を溜めておいて、雨、大雨、台風等による降雨量を
予想して放水するようにすれば、効率的な発電に繋
がるのだろうと、素人なりに理解しました。
それともうひとつ。
-----------------------------------------------
単純なイメージでいうと、ダム湖はシャンパングラ
スのように下が狭く、上が広くなっている。
高さが10%増えると容積は33%増える。
1割容器の高さを上げると、水量は3分の1も増え
る。
次に、水の高さを考える。
新しく貯まる水の高さの平均は、今まで貯まってい
た水の高さの平均の約2倍になる。
そして、高さが上がった分だけ、発電量は増える。
だから発電量も2倍となる。
つまり、ダムの高さを10%嵩上げすると、発電量
は66%増えることになる。
--------------------------------------------
結論として、10%の嵩上げは、ダムをもうひとつ
造るのと同じであるとのこと。
---------------------------------------------
日本に1年間に降る雨や雪を、すべて水力発電で
電力に変換すると、7176億kWhになる。
今の日本で1年間に発電されている電力量は約
1兆kWhだから、もし水力を完全に開発できれば
電力需要の70%ほどを賄える計算だ。
これはあくまでも理論値。
現在の水力発電の電力量は900億kWh強であり
理論値には程遠い。
-------------------------------------------
技術と経済の状況でどこまで可能かが判断基準
になるのでしょうが、
「既存の多目的ダムの運用変更と嵩上げは今す
ぐにでも実行可能」
ということです。
------------------------------------------
全国のダムの試算では、運用と嵩上げだけで
343億kWhの電力量を増やせる。
さらに、現在のところ発電に利用されていない
ダムを開発することは可能で、少なくとも
1000億kWhほどの電力量が増やせる。
すると、既存のものと合わせ水力発電で
2200億kWh以上となり、日本全体の電力需要
の20%を超える。
これだけの純国産電力を安定的に得られる意味は
大きい。
-----------------------------------------
ダムが200兆円を超える巨大遺産の根拠を
説明すると。
-----------------------------------------
電力を金額にで表してみる。
仮に、水力発電の電力量が現在より1000
kWh増加したとする。
1kWh当たりを20円とすると、1000億
kWhの電力料金は、年間で約2兆円に当たる。
つまり、少なく見積もっても、純国産の
エネルギーが毎年、2兆円分も増える。
しかもダムは半永久的に使える。
仮に100年しか使えなくても、年に
1000億kWhの電力量の増加は、100年
で200兆円分の電力を余計に生んでくれる
計算になる。
つまり
「ダムとは、この先の日本に200兆円を
超える富を増やしてくれる巨大遺産なので
ある」
----------------------------------------
最後は、最もらしいような、やや理屈に走っ
てるような気が私はしなくもないのですが、
しかしダムの有効利用は、大いなる関心事
になりました。
たまにある渇水時をどう乗り切るのかという
疑問もなくはないのですが、その可能性は
今より遥かに低くはなることでしょう。
>10%の嵩上げは、ダムをもうひとつ
>造るのと同じであるとのこと。
その為のコストと安全性に正確な検証が
欠かせないと思いますが、自分が地方自治体
の首長になったら、本気で検討してみたい
という妄想にかられます(^^♪
水力発電がこれほどにも有益な電力確保の
手段であることなど全く、考えることもあり
ませんでした。
福島さんは、現在のダムを改修して
嵩上げすることと、運用面のソフトを見直す
ことが、豊富で安定した電力供給の一助にな
るということをご存知だったでしょうか。
ご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
福島さんの幸運な日々を祈念します。
******************************************
Amazon・Kindle 【アモリ通信】
最新配信版:第9弾
三国志と三国志演義:全8話(82~89)
http://www.amazon.co.jp/dp/B01MT2KM5O
2016年度配信版:全51話:(39~89)
http://www.amazon.co.jp/dp/B01N34FSYO
2015年度配信版:全38話:(1~38)
http://www.amazon.co.jp/dp/B01JYVOREU
******************************************
『Strong(強く)Integrity(真摯に)
Love(愛を持って)』
参謀育成コンサルタント
******************************************
SILマネジメントサポート 代表 福島清隆
・オフィシャルサイト:http://www.sil-ms.jp
・お問合せE-mail: info@sil-ms.jp
------------------------------------------
Copyright(C)2015 SILマネジメントサポート
All Rights Reserved.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿